伯爵令嬢 愛おしすぎる世界

千秋楽を観る前に。

初日と次の日曜日と、2回観ることができましたが
こんなにも感じ考えたことを記し残したくて、
こんなにも言葉にまとめられない舞台は初めて。
一日中、抱えたままの作品や早霧さんへのおもいが心を占めすぎてつらいほどです
でも幸福感でいっぱいなのは確か。

こんなに楽しい、愛のある作品を生み出してくれた生田先生に感謝。

ありえないできごとが次々に起こる漫画的なお話の展開ではあるけれど、
隅から隅まで人間の温度を感じるお芝居をする雪組さんによって
命をふきこまれたキャラクターたちの生きる舞台は、観ていて本当にきもちいい。

凝った衣装や装置も、映像や布を使った演出もほんとうに見応えあります。

生田先生がTBSの特番でおっしゃっていたことだけど
19世紀末のパリという、闇を抱えながらも新しい時代への希望に溢れた背景、
コリンヌへの愛、新聞への情熱というふたつの圧倒的揺るぎない思いをもち
またそれゆえのずるさや弱さ、葛藤を抱えながら前にすすんでいくアラン、
そのときどきでひとつの気持ちに染まり、曇りのない明るさでアランを見つめ振り回すコリンヌ、
恋人を奪われながらも「いつか君に追いついてみせる」とさわやかに振る舞うリシャール、
全力の真面目さとお茶目さでお屋敷とぼっちゃんを愛し守るじいやさん、
ふたりに優しいまなざしを向け楽しそうに働く可愛いメイドのみなさん、
アランの新聞への思いを共有し対等に熱心に働く新聞社の方々、
アランに憧れる気持ちを素直にもちつづける新聞少年、
いろいろな困難に見舞われながらも、最後はみんなに祝福されるふたり…
物語の大枠からディテールに至るまで
いま、この宝塚、雪組、トップコンビにぴったり仕立てられた作品すぎて
お話の結末と二重の意味で幸せな気持ちになるのです。

そのうえにあのフィナーレ。
真ん中仕様のきらきら衣装を纏いスポットライトを浴びる姿にぐっときます。
薔薇を女性のように抱えみつめる手つきや眼差し、三者三様にどきどきします。
ローズピンクのドレスを着たみゆちゃんはほんとうに花のように可憐で、
けっして広くはない早霧さんの腕の中にすうっと収まる姿、
華奢な早霧さんに抱えられてくるくるまわるリフトの意外な安定感、
びっくりと嬉しさでいっぱいになる。
見つめあいおでこを寄せ合い微笑み合うふたりの愛おしさといったら…!

最後に階段を降りるとき
歌がないのでこちらも思う存分に拍手で迎えられることがうれしい。
真ん中だけじゃなくて、端の方に至るまで、
そして観ているこちらも生き生きした笑顔で幕が降りるのがとてもうれしい。

こんな舞台と出会えて、わたし、しあわせよ!